今年の大河ドラマ。
前半、中盤では本当に見るのをやめようかと何度も思ったものだったが。

今年は、「浅井三姉妹」か「淀」でよかったのではないだろうか。

なんといっても、宮沢りえの淀がすばらしい。


田渕さんという脚本家は、時代劇ましてや大河ドラマにはまったく、向かないひとだとは思うけれども、どこかこう、ぐっとくる人物を奇跡的に描き出すひとでもある。
これも才能か。
彼女の書く脚本には、確かに人間の業とか感情の差し迫ったところを描く瞬間がある。
ただし、それは演者がそれを演じる相性を備えているか、演者自身が業を持っているか、演者としての力量があるかどうか、であって、そうでなかった場合は、まったく活きても来ない。
脚本家はしているつもりだろうが、まったくト書きも出来ていない。
これらの点で、上野樹里や水川あさみには、なかなか難しい。
彼女らのせいではないし、演出云々以前の問題でもある。
いや、彼女たちの役においては、わかりやすく彼女らと視聴者を導くべきだった。
無理矢理に、幼い頃からはめこまなくても、よかった。新解釈など要らなかった。
その点、そういうのはジェームス三木とかは抜群に上手かった。(大河的には、であるけれど)
上野樹里は、大変だろうと思う。
水川あさみのお初は、まだしも。

さて、宮沢りえと淀に戻ろう。
惜しむらくは、これが5年前であったなら。
宮沢りえの美貌は完璧だったとも思う。そして、貫禄も。
いや、今の顔だからいいのか。
あと、もっと惜しむらくは声か。
彼女の声は、もっと鈴が鳴るような声なのだが、後半の声が調子が悪そうで、なんとも勿体ない。
芝居でのうえで、声を抑えているせいなのだろうか。

それにしても、存在自体が、
艶やかで美しくて、そして哀しい。
彼女の迷いも、誇りも、なにもかもがまるで、本当に茶々が憑いているかのようだ。
彼女は、きっと、こんなひとだったのではないだろうか。

いろいろな淀を見たけど、しばらくはこのひとの右に出るひとは、いまい。

淀というひとほど、魅力的で多面的な捉え方ができるひとはいない。
不思議と、どんな女優が演じても、それなりに様になり絵になるのも淀というひとで。

今までの淀はみんな魅力的だったけど、今回はとても真に迫る。
人間として女として母として。
そして、間違いもおかすひととして。
実にすばらしい。

宮沢りえの存在なくして、このドラマは、大河ドラマとして成り立たなかった。
そう思う。
彼女が、この50年に及ぶ、大河ドラマの脈を救った。

淀殿への偏った見方が少しでもなくなったらいいな、とも思う。
太閤贔屓のひとたちがこの後、数百年も居たのは、彼女たちが確かに居たからだ。

コメント

nophoto
こうちゃん
2013年1月21日17:16

同感。宮沢さんの淀 最高でした。

大阪の陣  鎧を着て武者達の前に登場したシーン。
震えました。

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