今日、また「私は貝になりたい」を見に行った。

この映画の前売り券を5枚ライブ会場で買ったのだが、無事すべて同行者や知る辺の手にわたることになった。
「誘われなかったら行かなかったよ」
「テレビを見てたら、見ようかと思って」
「こういうのも見ておかなきゃ、と思うよね」
などと言われましたが、予想していたよりもずっと、潜在的な関心が高い映画だということがよくわかった。
これは、本当に本当に、中居さんのがんばりだと思います。
主演俳優の熱意はきっと、周囲を動かしたととも思うから。
だから私も関係者気分で「ありがとうございま~す」と張り切ってチケットお渡ししています。
少しは貢献できたかしら?
だから、今日はなんというか、私は1800円はたいちゃったわ。(笑)


さて、今日の映画館は大阪府内のシネコン。
この間、初めて見に行ったのは京都の、わりと古くなってしまった映画館だったわけで、それでも十分だったように思ったけど、「これはきっと、新しいところだともっといい音なんだろうな、聞き取りやすいんだろうな」と思ってはいたけど、いやー、たまげた。
すごかった。
技術の高い状態で作られた映画は、その映写装置の質が高くないと、活き切れないんだな、とつくづく。
今日は席も前方で、ど真ん中で、スクリーンは大きくとても鮮明。
少しは余裕もできて、台詞はよりよく聞き取れたし、音楽の効果もより一層感じた。
でも、不思議。
時間の流れ方や、集中力や見ているもののこだわり方は、前回と今回はちがっていて、どちらがどちら、のときがよかったともいえないんだな、これが。
そこが監督や脚本の仕掛け、というか・・・よく出来ているなあ、とも妙に冷静に感じたところでもある。


たとえば、お団子が浮いてるおつゆの夕食での健坊が「お弔いがあったらいいのに」という台詞。
これ、前は聞き取れなかった。
ご飯を貰って、お腹一杯になるよ、と。
それを聞いた父母の顔。
これがもうちょっとちがうパターンだと「お前はなにをゆーとるんじゃー!」バツーン、みたいなね。
まあ、それにしても健坊が無邪気なので、そんな気になれずにふたりとも黙り込んじゃう、っていう。
「どうにかしてやれよ」、って父は言ってしまう。
・・・で、父が徴兵されるにあたっての送別会。
台所で、満足げに無心に白いおにぎりを頬張る健坊・・・。

とかそういうのとか、いろいろ細かいところまで目が行くようになった。
1回見ただけで、よくわかってた気がするけれども、気づくところは多い。

でも、書きたい事はあっても、まとまりませんなー。なかなか。
ちゃんとして、もっと書いていきたい。


余裕があるといえば、周りのことも。
前回も別に周りが見えなかったわけではないのだが・・・・。
前回と今回と、共通して気になったこと。

それは男たちのしわぶき。

緊迫感のある映画のせいか、観客はホッとしたいという心理でも働くのか、明るい場面、おかしみのある場面では驚くくらいに笑いの波が起こり飛びつく感じの反応があったりしたのだけど、それ以外はとても静か。
そんな空気ではあるのだけれど。
その静けさのなかで、独特の男の人のしわぶき・・・咳払い、呻きのようなため息が幾つも聞かれる。
女性のすすり泣きや声はほとんど耳にしないのに、前方に居ても横や後ろから、男たちのそれらの音が不思議と響いていた。

それらの音はどこで響くかというと、冒頭の送別のところだったり、面会室のところだったり、最後の手紙だったりする。
私にはタイミング的に生理的なものばかりではないように思われた。
思わず出てしまった慨嘆ではないかな、と思われてならなかったわけです。

席に着くときや、終わってからの気配で感じた。
それらの音を出していたひとたちの多くは、私の父やそれ以上の年代ではないかな、と。
父は、ちょうど健坊のころであったろうし、直子は母くらいではないかな、と。
なんだか、無性にその方たちの言葉を聞きたいように思った。
あれには、いろんなものが込められている気がするから。
あの時代を描くことによって戦争の不条理や理不尽さはどう受けとめられたのか?
それを聞きたいように思った。

そんなことを思いながらも、やっぱりこの映画を見ていて思うのは、とても普遍的なものも描いているということ。
中居さんも言われていますが、これは今も起こり続けているのではないか、とも思う。
戦争の理不尽さ、というのとともに、これは世の中の不条理も描かれているような気がする。
私は見ていないけれど、前作もきっとそれは同じなんだろうけれど、今回は特に。
そのあたりは、より厚みと拡大された主題を含めたのだろうな、とも思う。
そうして、確かにこの映画は「キネマ旬報」の樋口氏の評論にあるようにある種の「大味」になったきらいはあったのだけれども、私は今日買ってきた文庫本のシナリオでの保阪氏の解説を読んで、その問題についてはストンと腑に落ちた。
私にとっては、この解説文がもっともしっくりとくる評であり解説であるように思う。


私の隣の席の家族連れのこと。
大丈夫かしら、お子さんたち・・・。(といっても、小学高学年と中学生くらい)
と思っていましたが、最後のあたりで「えっ?」と男の子が驚いて声をあげていた。
それも、かなり経った場面で・・・・。
最後の最後にどんでん返しがあると思っていたのかなあ。
取り返しがつかないことって本当にあっけなくあるんだ、とびっくりしていたようなタイミングだった。

いやあ、それがなんとも心に残りました。

そっかあ・・・、と。

いずれも、勝手に私が感じた周囲の観客の反応なのだった。

・・・うーん、中途半端な感想文だ。(苦笑)
また、続きはいずれ。(え)



最後。
もう一声(?)

中居さん、声すっごい、いいよね・・・・。
でも、ほんまに独特。
あの深み、古い映画館では活かしきれてなかったんだ。
でもあの味ったら、ほんとに素晴らしい。

滑舌はこれまでで一番。

そして、品がいい。
なんで、こんなにこのひとはどんな時にも品がいいんだろう、って思ってしまう。(イタい?)
これが無垢、ってとこなんだろうなあ、とも。
中居正広のオーラと香りが役に漂うとしたら、この品なのだと思う。

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