戦国のゲルニカ
去年の夏、大阪城で「大坂夏の陣図屏風」を見た。
(複製が置かれています→本物は年に数週間だけ公開)
その屏風の横だったか、描かれる場面場面をクローズアップしての映像と声での解説がされているのだが、思わず見入って聞き入った。
すごい迫力があるな、と思った。拙い感想なんだけど。
事細かに、あの日本画の画調で描かれているわけなんだけど、あの時代の一種の事件写真のようなものなのね、きっと。

今夜のNHK「その時 歴史が動いた」で、この屏風が取り上げられていた。
この屏風を大阪城におさめるために尽力された天守閣の主任・岡本良一さんのことを初めて知った。

「この絵を見ていると 当時の市民の怒りや悲しみの声が 聞こえてくるような気がする
 この絵はまさに わが国の元和版『ゲルニカ』と言ってよいかもしれない」
岡本さんの著書「図説大坂の陣」(創元社)より引用とのこと。
(NHKホームページより。)

惨殺され乱暴され攫われて奴隷として売られた大坂の町人たち・・・。
実に悲惨な戦いで、番組でも語られていたけれども、戦国の最後の戦いで「こんな思いをするのはもう沢山だ」と勝者にも敗者にも思わせたのではないか、と。

あるひとつの解釈であろうけれど、確かにひとつの要因ではあったかもしれない。

そうして訪れた太平の世。
二百数十年の間に藩や家の取り潰しや粛清などはあったものの、平和な世。
でも、歴史はいつか動いて繰り返すもので。

江戸城開城の折。
もし、あの時徹底決戦でも起こっていれば、江戸の町はどうなっていたことだろうか。
また、ゲルニカの有様は繰り返されたのだろうか。
と、思い合わせた。
無血開城されたことは江戸の民衆にとっては何よりの救いになったのだろう、とも思う。
「市街戦」になったかどうか・・・、は冷静に考えたらそこまで無秩序にははならないかな、とも思うけれど、江戸の町の大混乱は免れなかっただろうな、とも考えた次第。

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