「ヴェニスの商人」を観ました。(非道なほどにネタバレ)←いろいろ改造。
2005年11月12日 映画シェイクスピアの書いた37の戯曲の中で最も人気が高く、日本でも最初に上演されたシェイクスピア劇として知られる『ヴェニスの商人』。
舞台は、貿易都市として栄えた16世紀末のヴェニス。アントーニオは、この街で貿易商を営む裕福な紳士。ある日、彼の元に、年下の親友バッサーニオが借金の申し込みにやって来る。ベルモントに住む才色兼備の令嬢ポーシャにプロポーズをするためだ。が、あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自らが保証人となり、バッサーニオにユダヤ人の高利貸しシャイロックを紹介する。そんなふたりにシャイロックが出した条件は、「もしも3カ月の期限までに借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドをもらう」というもの。常軌を逸した申し出にアントーニオはたじろぐが、期限内に船が帰還すると信じる彼は、この条件を承諾。おかげで、金を手にベルモントへ旅立ったバッサーニオは、難しい結婚の条件をクリアしてポーシャと結ばれる。そんなとき、アントーニオの輸入品を積んだ船が難破。借金返済の目処が立たなくなった彼と、約束どおり1ポンドの肉を要求するシャイロックの闘いは、法廷の場に持ち込まれることになる……。
「ヴェニスの商人」日本公式サイト・イントロダクションより抜粋
今日は、映画を観に行ってきました。
「ヴェニスの商人」。
もう、今、マイブームってか、頭ん中が、いたりあーん、な私としては外せないっしょ!!と思いながら。
ヴェニスでロケ、ってのも嬉しいし、中学の時の文化祭以来の「ヴェニスの商人」だし。(よく、40分くらいの長さにあの話まとめたよな、っていうその脚色力といい、体育館の狭い演台の、全然凝ってない舞台を見た時のあたしの想像力の豊かさといい、今更ながらにすごいぜ、って当時を思う。)
とかなんとか、思いながら観終わって。
目蓋が重くて仕方ないくらいに、泣いてました・・・自分。
両側には、ひとりで来た男の人が座ってるし、後ろにも前にも人がいるってのに、グスグスと・・・・。
結末は知っていたし、途中までかなり笑っていたのに。
アル・パチーノ、凄すぎ。
シェイクスピアは、やっぱり面白い。
人物描写も、展開も、台詞も面白くて、英語は聞き取れなくっても聞き心地はよくて。
でも、昔、中学生が脚色して演技してみせた、あの芝居とは違って見えたし、私も昔と変わったのだろう。
というより、やっぱり、この映画はシャイロックが主人公ってわけなので、ってことが第一であろう。
にしても。
シャイロックが、どうしてあそこまで惨めにならなきゃ駄目なの?
シャイロックを和らげるものを、誰も差し出せないの?
と、泣けて泣けて仕方なかった。
対する、アントーニオのジェレミー・アイアンズ。
やっぱ、私はこのひと好きだわ。
私のセックス・シンボルそのものだわ、やっぱり。
眼差しひとつ、身のこなしひとつ、で気持ちがさざめくし、うわーん、ってウルウルときてしまう。
大丈夫だよ。
魅力的な役者ってのは、年輪を重ねるうちに衰える容貌以上の引力を持ち続けるものなんだよ。
って、思ったり。
で、ジェレミー・アイアンズが弱っていく様子に、とてもワクワクしながら、シビれている困った自分もいたりする。(笑)
シャイロックも、アントーニオも、実はとても愛すべき隣人であるはずだし、ふたりとも間違ってはいないのだ。ただ、立場が違うというだけで。
なのに、身勝手で軽薄な、それだからこそ、自由な若者たち。
観てて、初めから思うのは、「なんだってアントーニオは、こんなにバッサーニオとかいう若造に骨抜きなんだろう・・・」てな疑問なんだけども。(苦笑)
あらすじでは、サラッと流してるけど、このバッサーニオっつう若造は、自分の浪費癖・放蕩のために、一文なしなんだぞ!
それでもって、(当然ながら)自分の借りた金を返せなくなった気の毒なアントーニオのためのお金を用意できないんだぞ!
コイツは絶対、綱吉(@大奥)並みのおぼっちゃまに違いない・・・と思ったらやはり、そうなようだ。
恐らく、誰も抗し切れない魅力の持ち主なんだろうけど、全くどこか抜けてるよなー、と思うキャラクターだ。
で、その疫病神みたいなバッサーニオは、才色兼備な恋人ポーシャにも、ちょっとした不実な振る舞いをしてしまう。
ポーシャって人は、なかなか聡明な女性で、彼女の方が一枚も二枚も上手。
そのあたりは、うまく描けていたし、イタリアの絵画そのものの彼女の容貌もなかなか美しかった。
そして、話は大団円に。
それだけに、やっぱりシャイロックの悲哀が泣けてきた。
最後のシーンが、救いだったかな。
彼を裏切って金を持ち出してまで家出した娘が、父を思って痛ましい顔をし、その指に指輪があることが・・・・。
非常に、心憎いラストシーンだった。
*****************************
画像は、ゴンドラから写したもの。
映画にも、こうした場面が少しだけ、映し出されていたけれど、思ったより少なかった。
ロケしようにも、限られた範囲だったのだろうなあ、と思われる。リアルト橋周辺、ドゥカーレ宮殿内部、船着場、といったところか。
*****************************
コメント