「義経」を見ていた。
哀しいなあ・・・。
頼朝の中井さんの演技が素晴らしかったな。
悲劇の人、まっしぐらに進んでいく者は輝きを持ち、光を放つものだけど。
その彼らを見る人たちはまた、辛いし、切ないんだろう。
物事が白黒はっきりしていて、気持ちが割り切れたらどんなに、楽だろう。
だけど、そうじゃないから、人って愛しいし、人を描く物語に、人は心を揺さぶられるのかな。

昨日、「きょうの雨 あしたの風」という芝居を見て来た。
藤沢周平の三篇の短編を一本の芝居に脚色化したもの。
私は、読んでいないものばかりだったけど、いわゆる江戸の市井もので、長屋もの。
NHKの「お江戸でござる」なみに、セットがくるくる回り、長屋の住人たちの物語が演じられる。
市井ものは、結構好きだし、筋はわかりやすいのでとても見やすかった。
昔、盗賊を働いて、今は日雇い人足となっている作十という老人は「成り行きだよ」と、博打の借金のカタに売られそうになった姉と道楽者の弟、姉の恋人をかばって命を落とす。
「こんないい死に方が出来るとは思わなかった。」と、彼は言う。
裏街道を生きていて、その後ひっそりと老いさばらえてきた、と思った男にとって、なによりの花道。「ありがとう」と言う、晴れ晴れした面持ちがなんとも、芝居を見た!!って感じの見得切り。
そういうメインストーリーとはまた別に、とっても、心に引っかかってうーむ、と唸らせるのが、三篇の短編のうちの「おばさん」(『時雨みち』収録)部分の話。
ひとり地味に暮らす寡婦のおときが、倒れている若い男幸太を助け、幸太は、おときひとり暮らしの長屋に転がり込んでくる。
ひとより老けて見える女は、息子くらいの男と、のっぴきならない関係になるが、勝手な男は若い女に心を移す。
自分がおときの養子になり若い女を嫁に迎えたらいい、という男の言葉に(関係を持つ前におときが口にしたこととはいえ)、一瞬の激情に襲われるおとき。
のぼせ上がった男を諌めても収まらないのを知ったおときは、男が出て行くのを見送る。
日常の中の、非日常、刹那の激情。
そんなものが、なかなかニクい。

私、年末大型時代劇とかで、つよぽんが英雄ものやるより、彼には、こういう市井ものだとか武家ものだとかを、しみじみやってほしいと思うなあ。
出来れば、NHKあたりで。(笑)いかがでしょう。

>MAYUKOさん
はい、途中でちょっと寝てしまいました。(笑)
気持ちいいんだもん、劇場って。(おい)

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